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映画化されたムーラン(花木兰)の中国の伝説話

 

映画化されたムーラン(花木兰)と中国の伝説「花木蘭」

 

 日本では2020年9月4日からDisney+ (ディズニープラス)で配信されることとなった。1998年のアニメ映画『ムーラン』があり、どちらも『木欄辞』を元に作られた。しかし、ディズニー映画のためアメリカ人や西洋の主観が強くある作品だ。

 

『木蘭辞』(『ムーラン』の原典)原文

 


A.出兵まで


  喞喞復喞喞  jījī fù jījī     「ああ、何ということかしら」(ため息の音)
 木蘭當戸織  Mùlán dāng hù zhī  木蘭は戸のそばではたを織る
 不聞機杼聲  bù wén jīzhù shēng  はた織りの音は聞こえず、
 唯聞女歎息  wéi wén nǚ tànxī  ただ娘の嘆き声が聞こえるだけ。

 問女何所思  wèn nǚ hé suǒ sī 「何をそんなに考えているの」と娘に尋ねる
 問女何所憶  wèn nǚ hé suǒ yì  「何をそんなに思い悩むの」と娘に尋ねると、
 女亦無所思  nǚ yì wú suǒ sī 娘は 「何も考えていません」と答える。
 女亦無所憶  nǚ yì wú suǒ yì 娘は 「何も悩んではいません」と答える。
 昨夜見軍帖  zuóyè jiàn jūntiě    昨夜、徴兵名簿を見たのだけれど、
 可汗大點兵  Kèhán dà diǎn bīng  王様(可汗)はたいそう多く徴兵しています。
 軍書十二巻  jūnshū shíèr juàn   名簿は 12 巻にもなり、
 巻巻有爺名  juàn juàn yǒu yémíng  どの巻にも父の名前がありました。
 阿爺無大兒  Āyé wú dàér    父には大きな息子がなく、
 木蘭無長兄  Mùlán wú zhǎngxiōng  私、木蘭には長兄がありません。
 願爲市鞍馬  yuàn wèi shì ānmǎ  それで、くらと馬を買って
 從此替爺征  cóng cǐ tì yé zhēng  従軍して父の代わりに行きとうございます。

 

B.支度をととのえ出発、北の戦場へ


 東市買駿馬  Dōngshì mǎi jùnmǎ  東の市場で駿馬を買い、
 西市買鞍韉  Xīshì mǎi ānjiān   西の市場でくらを買い、
 南市買轡頭  Nánshì mǎi pèitóu  南の市場でくつわを買い、
 北市買長鞭  Běishì mǎi chángbiān  北の市場でむちを買った。
 旦辭爺孃去  dàn cí yé niáng qù  朝に父母に別れを告げて去り、
 暮宿黄河邊  mù sù Huánghé biān  暮れに黄河のほとりで野宿した。
 不聞爺孃喚女聲  bù wén yé niáng huàn nǚ shēng 父母が娘を呼ぶ声は聞こえず、
 但聞黄河流水鳴濺濺 dàn wén Huánghé liúshuǐ míng jiānjiān
                                                              ただ黄河のしぶきをあげる流れが聞こえるだけ。
 且辭黄河去  qiě cí Huánghé qù   朝に黄河を去って、
 暮至黒山頭  mù zhì Hēishān tóu  暮れに黒山のふもとに着いた。
 不聞爺孃喚女聲  bù wén yé niáng huàn nǚ shēng
                  父母が娘を呼ぶ声は聞こえず、
 但聞燕山胡騎鳴啾啾 dàn wén Yànshān hújì míng jiūjiū                             ただ燕山のえびすの馬が悲しく鳴くのが聞こえるだけ。

 

C.戦場(十年?)→帰還


 萬里赴戎機  wànlǐ fù róngjī   万里のはての戦場に赴き、
 關山度苦飛  guānshān dù kǔfēi  関所の山を苦しく越えた。

 朔氣傳金柝  shuòqì chuán jīntuò  北方の冷気に銅鑼と拍子木の音が響き、
 寒光照鐵衣  hánguāng zhào tiěyī  寒寒とした月光がよろいを照らし出す。
 將軍百戰死  jiāngjūn bǎizhàn sǐ   将軍は百戦のすえに死に、
 壯士十年歸  zhuàngshì shínián guī  若者は十年ののちに帰ってきた。

 

D.天子謁見→褒美を賜与→帰郷

 歸來見天子  guī lái jiàn Tiānzǐ   帰ってきて皇帝に謁見すると、
 天子坐明堂  Tiānzǐ zuò Míngtáng  皇帝は明堂に座り、
 策勳十二轉  cèxūn shíèr zhuǎn   十二階級特進の勲を与え、
 賞賜百千彊  shǎngcì bǎiqiān qiáng  何千もの金を下賜した。
 可汗問所欲  Kèhán wèn suǒ yù  王様が欲しいものはないかと問うたところ、
 木蘭不用尚書郎 Mùlán bù yòng Shàngshūláng
                                  木蘭は位の高い役職を欲しがらず、
 願馳千里足  yuàn chí qiānlǐzú  「千里を走る足を馳せて、
 送兒還故郷  sòng ér huán gùxiāng  私めを故郷に帰してください」と願った。

 

E.故郷に帰る→戦友の訪問→木蘭が女だと知る


 爺孃聞女來  yé niáng wén nǚ lái  父母は娘が帰ってきたと聞いて、
 出郭相扶將  chū guō xiāng fú jiāng  街を出て互いに寄り添って出迎えた。
 阿姉聞妹來  Āzǐ wén mèi lái  姉は妹が帰ってきたと聞いて、
 當戸理紅粧  dāng hù lǐ hóngzhuāng  戸のそばで化粧を直した。
 小弟聞姉來  xiǎodì wén zǐ lái  小さい弟は姉が帰ってきたと聞いて、
 磨刀霍霍向猪羊  mó dāo huòhuò xiàng zhū yáng
             包丁を磨いてきゃあきゃあ騒ぎながら豚・羊に向かった。
 開我東閣門  kāi wǒ dōnggé mén  自分の家の東の建物の門を開き、
 坐我西閣牀  zuò wǒ xīgé chuáng  自分の家の西の建物の寝台に座り、
 脱我戰時袍  tuō wǒ zhànshí páo  自分の戦時の服を脱ぎ、
 著我舊時裳  zhuó wǒ jiùshí cháng  自分の昔着ていた服を着た。
 當窓理雲鬢  dāng chuāng lǐ yúnbìn  窓に近づき髪を直し、
 對鏡帖花黄  duì jìng tiē huāhuáng  鏡に向かって化粧をした。
 出門看火伴  chū mén kàn huǒbàn  門を出て戦友に会うと、
 火伴皆驚忙  huǒbàn jiē jīng máng  戦友はみな仰天した。
 同行十二年  tóng xíng shí èr nián  12 年間いっしょにいたが、
 不知木蘭是女郎  bù zhī Mùlán shì nǚláng  木蘭が女だとは知らなかったのである。

 

F.うさぎの比喩‐男女

 雄兎脚撲朔 xióngtù jiǎo pūshuò   おすの兎は脚が前に進まず、
 雌兎眼迷離  cítù yǎn mílí      めすの兎は眼がちらちらする。
 兩兎傍地走  liǎng tù bàng dì zǒu   両方の兎が地面を走るのだから、
 安能辨我是雄雌  ān néng biàn wǒ shì xióngcí  

        どうして自分がおすなのかめすなのか区別することができようか。